今年も花粉症シーズンが到来し、マスクや点鼻薬といった対策グッズが薬局などの店頭に並ぶ。国民の4人に1人が花粉症と言われ、1人あたりの平均対策費用は年間4000円以上との統計もある。国内1000億円を超える「花粉症市場」をターゲットに、各メーカーが商戦を繰り広げている。
花粉症対策でマスク姿の人が目立ち始めた2月中旬、東京都千代田区の「ココカラファイン神田神保町店」は、店舗の一角に対策商品コーナーを設置した。定番の飲み薬に加え、顔やマスクに振りかけるスプレーが人気という。
化粧品メーカーのコーセーは1月、肌への花粉付着を防ぐクリーム「スキンプロテクト BB」を発売。エステーも昨年12月、マスクに塗る花粉対策製品「MoriLabo(モリラボ)花粉バリアスティック」を投入した。トドマツから抽出した成分を配合し、薬剤をマスク外側の鼻の付近に塗ることで香りも楽しめる。
ドラッグストアでは、極細のナノ繊維を網目状に組み合わせたフィルターで花粉など微粒子の侵入を防ぐ、興和の「三次元 高密着マスク ナノ」など、マスク商品の品ぞろえも豊富だ。
インターネット調査会社「マクロミル」が1月、スギ花粉による症状がある約1000人に聞いたところ、花粉シーズンの対策にかける予算は平均4550円。5000円以上と答えた人も22.7%に上り、全年代で女性よりも男性の方が額が大きかった。花粉症対策の強化方法(複数回答)では、マスクが50.9%で最も多く▽病院での診察、治療、処方箋医薬品など(36.8%)▽目薬(35.7%)▽ヨーグルト(34.5%)――と続いた。
アサヒ飲料の2012年の調査では、花粉症対策の市場規模は1015億円と推計される。一方で、第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストは、花粉の飛散による外出の抑制で個人消費が平年比5691億円押し下げられると試算するなど、花粉症による経済損失を懸念する声もある。
【文責】登坂紀一朗(薬剤師)