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2018/12/05 水曜日 | 学会・研究,臨床・試験,薬剤情報

乳児期アレルギーを予防か 妊娠中のぜんそく薬

国立成育医療研究センターは26日、妊婦に特定のぜんそく治療薬を投与すると、生まれた子の乳児期のアレルギー発症を予防できる可能性があることをマウスの実験で明らかにしたと発表した。

この薬は、アレルギーの原因となるタンパク質「免疫グロブリンE(IgE)」の働きを邪魔する抗体。医療用医薬品に「オマリズマブ」がある。成育研などのチームは妊娠中期と後期の2回、マウスに薬を投与。生まれた子は生後6週間以上、IgEが体内で作られず、アレルギー反応が起きなかった。
人では生後4カ月程度、効果が続くことになる。乳児期にアトピー性皮膚炎などを発症すると、成長に伴い食物アレルギーやぜんそくなどを連鎖的に発症する「アレルギーマーチ」という状況になりやすい。
成育研の斎藤博久・研究所長補佐は「乳児期のアレルギーを予防できれば、その後の発症予防にもつながる。人でも有効と示せれば、アレルギーを大きく減らせるかもしれない」と話している。
注:オマリズマブ(商品名:「ゾレア皮下注用」、製薬会社:ノバルティス ファーマ)は、喘息治療薬として製造承認を取得(2009 年1 月21 日)。
喘息に適応を持つ日本で初めての抗体医薬(ヒト化抗ヒトIgE モノクローナル抗体製剤)である。2週間もしくは4週間に1回の皮下注射で、重症喘息患者の症状増悪頻度を減少させる効果などが確認されている。

【文責】登坂紀一朗(薬剤師)

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