来年10月の消費税率10%への引き上げによる増収分を活用し、社会保障の充実に地方負担分を含め8110億円を計上。その柱として、増税と同時に実施する幼児教育・保育の無償化に3882億円、低所得の年金受給者に最大月5千円を配る「年金生活者支援給付金」に1859億円を盛り込んだ。
高齢化に伴う社会保障費の伸び(自然増)は4768億円に抑えた。概算要求段階では6千億円を見込んでいたが、薬価の引き下げや、40~64歳の高所得者に介護保険料の負担増を求める「総報酬割」の拡大などで約1200億円を圧縮した。
75歳以上が対象の後期高齢者医療制度では、保険料の定額部分を最大9割軽減している特例措置を来年10月に廃止。年収168万円以下の約750万人が対象だが、増税を考慮し、年金生活者支援給付金が受けられない人は1年間猶予する。
充実策では、人手不足が深刻な介護職員の確保に421億円を計上。各事業所で少なくとも1人、勤続10年以上のベテラン介護福祉士の賃金を月8万円引き上げる。保育士も1%賃上げ(月3千円相当)し、206億円を充てる。
現政権が掲げる「生涯現役社会」の実現に向け、高齢者の就労支援や環境整備に296億円を充てる。企業への助成金で65歳以上の継続雇用や定年引き上げを進める。
【文責】登坂紀一朗(薬剤師)