主治医でない別の医師に意見を求めるセカンドオピニオンには公的医療保険は使えず、費用は医療機関ごとに異なる。国立がん研究センター中央病院の場合、約1時間の相談で4万3200円かかる。
☆医療IT企業「リーズンホワイ」(塩飽哲生社長)は今年4月、インターネットを利用して医師から医療に関する意見を受けられるサービス「ファインドミー」を開始した。
このサービスでは、同社が大規模病院勤務で経歴10年以上の医師約1200人を登録。がん患者が相談を投稿すると、医師が匿名で名乗りを上げる。患者は、医師の履歴書に書かれた経験年数や論文数、専門医資格などから依頼先を選び、医師名が書かれたリポートを受け取る。
塩飽社長は「医師法では診察していない患者への診断、治療、薬の処方を認めていないため、リポートの情報は、病気の概要と一般的な治療の選択肢が中心」と説明する。
◇限界知った上で利用を・・・セカンドオピニオンを活用するがん患者はまだ多くない。
がん患者の支援に詳しい国立がん研究センターの若尾文彦・がん対策情報センター長は「セカンドオピニオンは『主治医を変更するために受ける』との誤解がある。本来は主治医の説明で納得できない患者が、別の医師に異なる視点から説明を聞き、納得するためにある」と説明する。
セカンドオピニオンを受けても、最終的には最初の主治医が勧める治療法を選ぶケースが多いという。
また、直接対面して患者の要望を把握することも重要で、文書でのセカンドオピニオンの限界を知った上での利用が必要だ」と指摘する。
◇オンラインで対話
亀田総合病院(千葉県鴨川市)は今年2月、パソコンやスマートフォンを介して、腫瘍内科の医師とがん患者が対話しながらセカンドオピニオンを提供するサービスを始めた。
同科は2007年から患者と対面でセカンドオピニオンをしてきたが、房総半島南部にあるため、患者には移動の負担が大きかった。オンライン診療ソフトを使うことで、地域を問わずに患者を受け付けられ、これまでに四国地方などからの利用もあったという。患者は事前に主治医からの診療情報や画像データなどの資料を郵送し、予約時間に医師から連絡を受ける。料金はカード決済で30分2万1600円。60分3万2400円。
【文責】登坂紀一朗(薬剤師)