抗がん剤治療に伴う脱毛を抑えるのを目的にした装置が、国内で初めて医療機器として承認された。頭皮を冷やすことで、毛髪をつくる細胞が抗がん剤の影響を受けにくくなるようにする。7月ごろから医療機関で使えるようになる見込みという。
抗がん剤は、薬のタイプによっては脱毛につながりやすく、患者にとって最もつらい副作用の一つとされる。承認された「パックスマン・スカルプ・クーリング・システム」(センチュリーメディカル)は、病院などで抗がん剤治療を受けるごとに、その開始前から終了後にかけて頭部につけた専用キャップにマイナス4度ほどの冷却液を流し、頭皮を冷やす。血管を縮め、毛包という場所に届く抗がん剤の量を減らす。
乳がん患者を対象にした国内の治験では、このシステムを使った30人中8人(26.7%)が、「50%未満の脱毛でウィッグを必要としない」と2人の医師に判定された。使わなかった側の13人で同様に判定された人はおらず、装置の効果が認められた。今回は乳がんを含む固形がん患者に使うことが承認された。
【文責】登坂紀一朗(薬剤師)