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2024/03/04 月曜日 | プロジェクト

認知症村で人間らしく暮らす ケアの新しい形

2024年3月2

・認知症患者は世界で5700万人に達し、2050年には1億5300万人に増えると見込まれる。その結果、医療費や介護費は約2450兆円にもなると予想される。

・認知症患者にとって最も大切なことは、人間らしいケアを受けることだ。そう考える人々が増えている。認知症は死の前兆ではなく、そこから「どう生きるか」が問われると言うのはエルロイ・ジェスパーセン。彼は北米で初めての大規模な「認知症村」であるカナダの「ビレッジ・ラングレー」を共同で立ち上げた人物だ。

・ジェスパーセンが自分の目指すケアの姿を明確にしたのは、オランダで最初に作られた認知症村「ホーヘベイ」を紹介する資料を見たときだった。

・ホーヘベイは敷地の真ん中に噴水があり、パブや劇場もある。オランダの田舎町のように作られている。入居者は自分で料理や洗濯をすることができ、自分の人生をコントロールしていると感じることができる。このような自由な環境が入居者にとって非常に重要だとジェスパーセンは説明する。

・認知症ケアの革新者たちは、積極的に情報を共有している。ホーヘベイは2008年に開設されて以来、建築家や医師、介護事業者、認知症患者の家族など、何百人もの人々が見学に訪れた。今ではフランスやイタリア、オーストラリア、ニュージーランド、ノルウェーなどにも同じような認知症村ができている。

・この施設の特徴の一つは、入居者の自主性を尊重することだ。それが認知症患者の暴力的な行動を減らしているのだという。村のコンセプトを採用してから、抗精神病薬を使っている入居者が5割から1割に減ったと、ホーヘベイの創設者の一人であるイロイ・バン・ハルは話す。「普段と変わらない生活を送れば、入居者は活き活きとします。それが入居者の心に良い影響を与えるのです」

・高齢者の住宅を設計する建築家のジェニファー・ソドも、ホーヘベイを見学した経験がある。ソドは認知症だった祖母のベティから学びを得た。ソドの母親は祖母を高齢者施設に入れた後、認知症介護施設に移したが、そのことを後悔していたという。

・ソドは母親の気持ちをずっと忘れなかった。祖母は家族を愛し、ケーキ作りが趣味だったが、施設では一人ぼっちで過ごすことが多かった。ソドは祖母に会いに行き、外に連れ出したときのことを思い出す。

「祖母の目が輝きました。太陽の光に当たり、花が揺れるのやチョウが飛ぶのを見て喜んでいました」と33歳のソドは言う。「全体的な設計の目標は、あの小さな瞬間を作ることなのです」

 

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