介護保険制度改正における利用者負担引き上げ議論
2023年12月11日
・ 国の審議会（社会保障審議会・介護保険部会）は、今後の介護保険制度改正に関する議論で、現行で所得に応じて1割から3割となっている利用者負担の引き上げを検討した。
・ 審議の焦点は、2割負担の対象者を拡大するか否かである。厚生労働省は具体策を提案せず、個々の負担能力に応じた負担を求め、将来に向けて制度の安定性や持続可能性を高める必要性を指摘した。同時に、「介護報酬改定の対応とあわせて予算編成過程で検討する」との意向を示した。
・ 審議会の担当者は、「今回はかなり異例な形。この場で具体的な案をお示しできなかったことを大変申し訳なく思っている。予算編成過程でしっかり検討したい」と述べた。
・ 物価高騰の長期化が1つの要因であり、高齢者の生活が厳しくなり、負担能力の判断が難しくなっている。内閣支持率の低迷を受け、与党内で高齢者の負担増への慎重論が強まったことも影響している。予算編成過程での検討の行方には、今後の政局が影響を与える可能性がある。
・ 審議会では委員の主張が分かれ、「現役世代の負担増を抑えるためにも利用者負担を引き上げるべき」といった意見と、「自己負担の引き上げは高齢者のサービスの利用控えを招く」といった反対意見が多数あった。最終的な結論は年末に政府・与党の判断に委ねられる見通しである。
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