厚生労働省は論点の1つとして、現行で10割給付となっている居宅介護支援のケアマネジメントに利用者負担を導入することの是非を提示。日本介護支援専門員協会は要望書を提出し、「現行給付の維持・継続」を重ねて要請した。
協会の濱田和則副会長は、「利用者負担が生じると、本当は適切なケアマネジメントが必要であるにも関わらず、高齢者の判断能力が必ずしも十分でないようなケースも含め、サービスの“利用控え”が生じる恐れがある」と問題を提起。「結果として早期発見・対応に遅れが生じる。介護予防や自立支援へ向けた、個々の利用者に応じた総合的なサービスによる支援が阻害される」と指摘した。
加えて、居宅介護支援の運営基準の基本方針に「公正中立」の理念が明記されていることを取り上げ、他のサービスとの違いを強調。「今後増加する1人暮らしの高齢者、認知症のある高齢者も含め、利用者の生活支援が継続的かつ客観的に行える環境の整備が必要」と語り、現行給付の維持・継続を呼びかけた。
居宅介護支援に利用者負担を導入する案について、この日の会合では現場の関係者が否定的な立場を相次いで表明した。ただ、一部の委員は実現を求める声をあげた。
日本経団連の井上隆専務理事は、「今後の社会保障を支えていくためにも経済の成長、活性化が必要。そのために、現役世代の負担を減らしていく努力も必要」と持論を展開。「施設サービスにはケアマネジメントの費用も含まれており、利用者はそれを実質的に負担している。居宅でも利用者負担を導入する方向で検討すべき」と意見した。
健康保険組合連合会の河本滋史専務理事は、「現役世代の負担は既に限界に達しており、給付と負担のバランスをとる踏み込んだ見直しを実施すべき」と主張。「サービス利用が定着して給付費がこれだけ増えている状況を考えれば、他のサービスと同様に利用者負担を導入すべき」と述べた。政府は年内に結論を出す予定。
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