2024年2月26日
・インフィニオンは2024年2月6日、医療機器の開発/販売会社のフィンガルリンクと、エレクトロニクス商社のネクスティとの協業を発表した。60GHzミリ波レーダーを使った高齢者の見守りシステムの開発/導入を目指すという。
・同システムは、フィンガルリンクが開発したミリ波レーダー生体情報検出システムを利用する。インフィニオンの60GHzレーダーセンサー「XENSIV BGT60ATR24C」やフィンガルリンクのサーモセンサーなどが搭載されており、服の上から非接触で、対象者の在/不在や、呼吸数、心拍数、睡眠状態、尿失禁状態などのバイタル情報を測定できる。
・さらに、通信機能も備えており、測定したデータをクラウドサーバに送信して、フィンガルリンクのオリジナルのアルゴリズムで分析する。設定した基準値を超えた場合には、アラートを出すなど、リアルタイムで正確な生体情報の監視を遠隔で可能にする。端末機器は、ポストカードくらいの小さなサイズで、机や壁、天井などにも手軽に設置できる。
・XENSIV BGT60ATR24Cは、送信アンテナ2個、受信アンテナ4個を持つ、FMCW(周波数変調連続波)動作の60GHzレーダーセンサーだ。赤外線センサーよりも高性能で、布団や家具などの障害物があっても、人の動きを感知できる。
・高齢者の見守りシステムの開発には、ネクスティが出資する韓国Smart Radar Systemのアンテナ設計やモジュール化の技術が活かされている。ネクスティは、フィンガルリンクと契約して、同システムの販売支援や、バイタルセンシングの新規ニーズの発掘も行う。
・インフィニオン パワー&センサーシステムズ事業本部 センサーシステムズ&IoT 部長の浦川辰也氏は、フィンガルリンクの高齢者見守りサービスにXENSIV BGT60ATR24Cが選ばれた理由について「性能や信頼性のほか、対応チャンネル数が多く拡張性が高いことが理由だ。他社製品と比べて消費電力が低く、システム稼働時の発熱も少なかったことが評価された」と話した。
・今回の協業の背景について、浦川氏は「インフィニオンは、高齢化社会や医療/介護現場の人手不足という社会問題の解決に、半導体技術で貢献したいと考えている。今回、フィンガルリンク、ネクスティと共同で取り組んできた高齢者見守りシステムにおいて、介護施設での本格運用開始および、量販店などでの一般販売のメドが立ったため発表に至った」と説明した。
・日本では、少子高齢化が進んでおり、医療や介護の現場での人手不足が社会問題となっている。介護の現場では、入居者のバイタル情報を手作業で確認していることが多く、担当者の負担も大きい。カメラやスマートウォッチなどを使って、非接触かつリアルタイムにバイタルを測定するソリューションもあるが、この場合、「対象者が24時間行動を監視されているようなストレスを感じる」「認知症などの対象者がスマートウォッチを外してしまう」などの課題がある。
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