厚労省は報告書案で、「人手不足により業務多忙が常態化していること、顧客や利用者への対応が最優先とされる慣習があることなどから、労働者への安全衛生教育が適切に実施されているとは言えない実態がある」と説明。「転倒・腰痛は重篤な災害ではないという思い込みがあること、日常生活でも発生し得る災害であることなどから、事業者や労働者が職場の問題として対策に取り組む意識が低い傾向にある」との認識も示した。
そのうえで、短時間の動画やアプリなどを活かした効率的、効果的な安全衛生教育の展開を提案。転倒・腰痛による経済的な損失を“見える化”し、業界や企業にとって経営上対処すべき課題であると分かるようにしていくことも重要とした。厚労省はこうした考え方を、来年度から始まる「第14次労災防止計画」に反映させる方針だ。
報告書ではこのほか「ノーリフトケア」にも言及。「介護職員の身体の負担軽減につながる技術や介護機器の導入など、既に一定の効果が得られている対策は積極的に普及を図るべき」と明記した。