・名張市消防本部は、市防災センターで救急隊員向けの分娩介助研修を実施した。出産可能な医療機関の減少を受け、緊急時の対応力を向上させる目的で行われた。
・市は2024年2月から、出産予定日などを事前登録する制度を導入。救急搬送時の迅速な対応を目指し、医師との連携強化を進めている。研修には消防職員約30人が自主参加し、模型を使った実技訓練などを行った。
・2025年4月以降、伊賀・名張地域で出産可能な医療機関は伊賀市の1カ所のみとなる。名張市はこれを受け、出産の事前登録制度や遠方出産時の交通費支援などの対策を打ち出した。
・名張市消防本部によると、2024年に市内で発生した妊婦の緊急救急搬送は4件(転院搬送を除く)。救急隊員が分娩介助を行う機会は少ないが、対応が求められる状況に備え、研修を重ねて知識と技術を向上させる方針を示した。
・研修では、分娩中に意識を失った妊婦が転送先の病院で受け入れ先が見つからず、最終的に死亡した事例を検証。救急隊と医療機関・自治体の連携強化や、ハイリスク出産への対応課題について学んだ。
・助産師による講義では、分娩の流れや新生児の取り扱いについて説明が行われ、参加者は妊婦や新生児の人形を使って実践的な介助訓練を行った。
・名張消防署救急室の山下哲平さん(25)は、「知識は持っていたが、揺れる救急車の中でぬれた赤ちゃんを安全に守る重要性を改めて実感した」と語った。