心をサポートする臨床宗教師という存在、役目
2024年11月月21日
医療現場や災害地域で心のケアを提供する「臨床宗教師」が増えている。高齢化が進む日本では、病気や死と向き合うときには、精神的なサポートが求められている。
青森県弘前市で開催された乳がん患者の集会では、日蓮宗の住職・小山田和正さんが参加者に命についての考えを語った。彼は「生きたい」と「死にたい」という感情を抱えることが個性であると伝え、参加者から共感を得た。
この集会には14人の患者が参加し、小山田さんの話に耳を傾けた。参加者の一人は、感情が整理できない日常の中で共感を得て、気持ちが軽くなったと語った。小山田さんは2020年に臨床宗教師の資格を取得し、弘前大学病院でがん患者やその家族の悩みを聞くボランティア活動を行っている。
臨床宗教師の養成が進んだ背景には、東日本大震災での宗教者による被災者支援がある。2012年には東北大学で養成講座が始まり、2018年には全国組織が認定資格制度を設立した。
現在、青森県内で資格を持つ臨床宗教師は増加しており、最近資格を取得した副住職は、医療従事者に言いにくい悩みを受け止める存在になりたいと述べている。しかし、臨床宗教師の認知度はまだ低く、大切な人を失った人々への「グリーフケア」の概念が広がることが、彼らの活動を拡大する鍵となる。
日本臨床宗教師会の事務局長は、臨床宗教師が医療現場だけでなく多様な場で活躍できるとし、特定の集会に参加することで認知度が高まると期待している。臨床宗教師は、欧米の病院でのケアを行う聖職者をモデルにしており、宗教や宗派に関係なく活動している。現在、日本全国で211人が認定を受けている。