2022年6月30日 文部科学省の薬学部教育の質保証専門小委員会にて
文部科学省の第6回「薬学部教育の質保証専門小委員会」が6月30日に開かれ、薬学部の新設や定員増を抑制する方針の制度化などを盛り込んだ「6年制課程における薬学部教育の質保証に関する取りまとめ」の素案が示された。その中で、薬学部の入学定員について抑制方針をとることとし、速やかに制度化を進める必要があると明記した。
これまで薬学部・学科の新設と定員増は大学の判断で申請できたが
これまでは、大学の判断で薬学部・学科の新設と定員増を自由に申請でき、関連法令に適合すれば原則として認可していた。今回の素案では、入学定員充足率の低い大学が多数存在すること、将来的に薬剤師過剰が予測されていることなどを踏まえ、認可を抑制する方針を速やかに制度化すべきとした。
【関連資料】
文部科学省:第6回薬学部教育の質保証専門小委員会
文部科学省
中間とりまとめ(昨年)からの軌道修正
昨年末の中間取りまとめでは、入学定員抑制に対する具体的施策に言及はなかったが、軌道修正した。文科省(同小委員会)では22年7月下旬にとりまとめに向けた議論を行い、8月以降に開催予定の親会議「薬学系人材養成の在り方に関する検討会」に報告する予定。関係告示を改正して制度化に向けた必要な準備を進める考え。
地域性を踏まえ人材確保が必要な場合は新設や定員増に例外も
認可を抑制する一方で、薬剤師の地域偏在が指摘されていることを踏まえ、各都道府県の医療計画等において、薬剤師不足など将来的に当該地域における人材養成の必要性が示され、かつ、他の都道府県との比較において薬剤師の確保を図るべきであると判断できる等の場合には、例外として新設や収容定員増を認める可能性があると言及した。
教育の質に問題ある大学には適正化を要請
さらに、国は実質競争倍率や入学定員充足率、標準修業年限内の卒業率・国家試験合格率等の割合が一定水準を下回り、教育の質に課題があると考えられる大学に対し、適切な入学者選抜の実施および入学定員の適正化を強く要請すべきであるとした。また、定員未充足の大学に対しては、メリハリある財政支援等によって、より一層の入学定員の適正化を求める必要性があることについても言及した。
素案では、情報の公表について、大学は入学者選抜に関する情報、標準修業年限内の卒業率および国家試験合格率、各年次の留年率、第三者評価の結果等については、ホームページや入学案内などにおいて、受験生や保護者、在学生等に分かりやすい形で公表すべきであり、新卒の国家試験合格率を掲載する場合は、標準修業年限内の国家試験合格率(ストレート合格率)も併記すべきとした。
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