2019年10月3日(労務問題・判例)
・社会福祉法人
・北海道札幌市
・エイズウイルス(HIV)に感染した30代男性 社会福祉士が、病院のソーシャルワーカーの採用内定を取り消されたことを巡る訴訟
・精神的苦痛を受けたとして、慰謝料330万円の支払いを求めて男性が2017年7月に札幌地方裁判所に提訴
・2019年9月17日、札幌地方裁判所における「損害賠償請求事件」の判決
・札幌地方裁判所「虚偽の説明をしたことは、自らの身を守るためでやむを得ない」
・札幌地方裁判所「男性から感染する危険は無視できるほど小さく、採用で感染の有無を確認することは許されない」
・札幌地方裁判所「患者に寄り添うべき医療機関の使命を忘れ、HIV感染者に対する差別や偏見を助長しかねない」
・内定取り消しは違法、男性に慰謝料165万円の支払いを命じる
・社会福祉法人はホームページにコメントを掲載
・判決は納得できないと主張する一方、「不本意だが、控訴を断念する」と結論
・社会福祉法人「最後まで病院の反省がみられず残念だ。採用に際してカルテを目的外で閲覧するなどの非を認めて、再発防止策を講じてほしかった」
・男性「相手に感染を伝えることで不利益を受ける怖さに日々さらされながら生きてきた。社会の認識が少しずつ変わっていけば」
・2017年12月、男性は協会傘下の病院の求人に応募、持病の有無を聞かれたがHIV感染は告げず、ソーシャルワーカーとして18年2月付の採用が内定
・その後、病院が以前に男性が受診した際に感染していることを記入したカルテを見て「話が違う」と電話
・「就労に問題はなく、職場で他者に感染する心配もない」とする医師の診断書を病院側に送ったが、面接で虚偽の事実を述べたとして2018年1月、内定取り消しを通知