新型コロナ後遺症:北野病院調査データからの洞察
2024年1月15日
・ 医学研究所北野病院の後遺症専門外来での320人のデータによれば、新型コロナウイルスの後遺症を発症する人の約7割は女性で、男性は31.2%だった。
・ 主な後遺症の症状は、「倦怠感」が最も多く、「思考力と集中力の低下」や「軽い活動や運動後に数時間から3日以内の激しいだるさ」「不眠」が続くことが多かった。
・ 年齢の中央値は45歳で、体格指数(BMI)は23.8。普通体重に分類されるものの、やや肥満寄りだった。
・ 新型コロナを発症した際に入院した人の割合は12.5%に過ぎず、症状の重さと後遺症の発症には関連性が乏しいと考えられている。
・ 北野病院の調査は、米国やドイツ、イタリアなど22カ国のデータと一致し、女性が発症しやすく、20~40代が多かった。後遺症の発症ピークは男女とも20代だった。
・ 世界保健機関(WHO)は後遺症を「発症から3カ月後に2カ月以上の症状がある」と定義しており、体内の炎症が後遺症の原因である可能性が指摘されている。
・ 横浜市立大病院の論文によれば、オミクロン株感染者のうち後遺症患者の定義に当てはまる人は11%に上り、後遺症に苦しむ人が多いことが示唆されている。
・ 北野病院の丸毛聡医師は「治療を続けても完全に治らない人もおり、社会問題となっている。後遺症の発症は減ってきているが、ゼロにはなっておらず、引き続き注意が必要」と呼びかけている。
・ 国の後遺症診療手引の編集委員である愛知医科大の牛田享宏教授は「後遺症の患者は異常が見えにくく治療法の選択が難しい。社会復帰のためには支援が必要で、できない場合は症状が悪化する悪循環に陥りかねない」と述べた。
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