赤ちゃんの脳障害に新たな一手、炎症細胞だけを狙う治療化合物を開発
- 2025.04.21(月)
・滋賀医科大学の研究チームが、新生児の重度脳障害に対する新たな治療候補となる化合物を開発した。
・この病気は「新生児低酸素性虚血性脳症」と呼ばれ、出産時のトラブルで赤ちゃんの脳に酸素が行き届かなくなることで起きる。
・発症率は1000人に1~3人で、脳性まひの主な原因とされている。現状の治療法である「脳低体温療法」では、進行を抑える効果はあるが十分とは言えない。
・研究チームは、脳に炎症を引き起こす免疫細胞に注目し、特定の細胞だけに結合する「ペプチド」を応用して、炎症の原因となる細胞を狙い撃ちする化合物を作り出した。
・病気を再現したマウスに化合物を投与したところ、炎症細胞が5〜7割減少し、脳の萎縮も抑えられた。さらに、運動機能も健康なマウスに近い状態を維持していた。
・この成果が実用化されれば、新生児の脳症による死亡や後遺症のリスクを大幅に減らす可能性がある。
・今後は、脳への適切な投与経路や安全性、有効性の確認といった課題に取り組む必要があると専門家は指摘している。