・再生医療の最前線であるiPS細胞の活用が、複数の疾患を対象に実用化へ向けて進展している。
・大阪大学が開発した心筋シートが初の承認申請に至った一方で、他の疾患においても治験や臨床研究が進行中。
・保険診療との併用が可能な「先進医療」の制度を活用した取り組みも見られ、多様なルートで治療法確立を目指している。
・iPS細胞は、2007年に京都大学の山中伸弥教授によって開発され、あらゆる細胞に変化できる性質を持つ。
・その特性から、損傷した組織や臓器を再生する医療への応用が注目を集めてきた。
・2014年には加齢黄斑変性の患者に対して初の移植が実施され、それ以降、心不全や角膜疾患などでも応用が広がっている。
・京都大学のチームによるパーキンソン病の治験はすでに終了しており、住友ファーマが今後の承認申請を予定している。
・慶応大学の研究チームは、脊髄損傷の患者に対する臨床研究で、4人中2人に運動機能の回復が見られたと発表した。
・また、慶応大発のスタートアップが重症心不全患者への「心筋球」移植を用いた治験を進めている。
・神戸市立神戸アイセンター病院では、iPS細胞由来の網膜細胞をひも状に加工し、網膜色素上皮不全症への移植を試みる臨床研究を実施。
・この取り組みを「先進医療」として厚生労働省に申請しており、2024年2月からその可否が審査されている。