2024年2月6日
・東京慈恵会医科大と国立成育医療研究センターなどの研究チームが、重い腎臓病の胎児に対する臨床研究を計画していることが6日に明らかになった。出産後に透析を受けるまでの「橋渡し」として、国の委員会に研究計画を年内にも申請する目標を掲げている。これが実現すれば、動物の臓器を人に移植する「異種移植」としては国内初のケースとなる。
・計画を進めるのは慈恵医大と国立成育医療研究センターなどの研究チーム。横尾隆教授によれば、対象は腎臓に問題があり尿が十分に作れない「ポッター症候群」の胎児であり、ブタ胎児から取り出した約2ミリメートルの腎臓を出産予定日の約4週間前に移植する。
・移植手術後、胎児の血管がブタの腎臓に入り込み、1日数十ミリリットル程度の尿を作れる可能性がある。出産後はたまった尿をチューブを使って体外に排出し、数週間経過後に赤ちゃんが透析を安全に受けられるようになれば腎臓は取り除かれる。
・異種移植には倫理面での課題があるため、同大などは今夏には社会の理解を得るための一般向け説明会などを開く予定。秋には各施設で倫理審査を受け、問題がなければ年内にも国の委員会に申請する予定だ。
・ブタの臓器を使った異種移植は、提供臓器が不足する現状への解決策として注目されており、海外では心臓の移植例もある。横尾教授は「これまでは赤ちゃんが亡くなるのを見守るしかなかった。ブタ腎臓の移植により、治療法の選択肢が一つ増え、それが希望になれば」と述べている。
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