静脈内鎮静法による歯科治療での安全性について議論が高まっています。この方法は、不安や緊張を軽減し、外科的処置の際の記憶を消す効果が期待されていますが、適切な経過観察を怠った場合、重大な事故につながる可能性があります。
令和元年に東京都内の歯科医院で、57歳の女性が静脈内鎮静法施術中に低酸素脳症で死亡しました。この歯科医院では、適切な監視や医療機器を用いた血圧や脈拍の測定が行われず、捜査の結果、院長らが業務上過失致死の疑いで書類送検されました。さらに、同院では静脈内鎮静法を約1700件行い、催眠鎮静剤の過剰投与が繰り返されていたとされます。
一般社団法人「日本歯科麻酔学会」のガイドラインでは、静脈内鎮静法に伴う低酸素症や心停止のリスクが明記されており、患者監視を徹底することが推奨されています。一方、同学会認定施設で行われた調査では、安全性の確保ができており、心停止や死亡事例は確認されていません。
同学会の宮脇卓也理事長は、十分な研修を受けた認定資格者のいる施設を選ぶことを推奨し、公式ホームページで認定資格者情報を確認するよう勧めています。また、歯科麻酔専門医が勤務する医院を簡単に識別できる仕組みの必要性も指摘されています。