2023年6月12日
・静岡県内の病院で薬剤師不足が深刻化していることが、厚生労働省がまとめた偏在指標で明らかになった。
・静岡県の指標は都道府県別で40位となり、県内八つの2次医療圏全てが「薬剤師少数区域」に分類された。
・静岡県は2023年度末に策定する次期保健医療計画に、初めて薬剤師確保に向けた具体策を盛り込む方針を固めた。
・静岡県が12日に静岡市内で開いた県薬事審議会で報告した。
・病院薬剤師の偏在指標は、地域の人口から推計した病院利用者数や薬剤師の業務量、労働時間を基に算出した。
・静岡県は0・66で全国平均の0・80を下回った。
・2次医療圏別にみると、西部が0・76で最も高く、静岡と駿東田方が0・68、富士が0・61で続いた。最も低い賀茂は0・44だった。
・一方、薬局薬剤師は1・01となり、都道府県別で16位だった。
・2次医療圏別では賀茂と熱海伊東が少数区域に分類されたものの、駿東田方、静岡、志太榛原、西部は多数区域となった。
・薬剤師は増加傾向にあるが、ドラッグストアなどで勤務する薬剤師が増え、病院と薬局の間で偏りが生じているとみられる。
・静岡県が病院薬剤師の少数区域を脱するには約320人の確保が必要だとの試算がある一方、業界からは「目標値が実態と乖離(かいり)している」との指摘も出ている。
・静岡県は近く県内病院や薬局、薬学部の学生を対象にアンケートを実施する。
・薬剤師の定数や勤務実態、採用状況などを調べ、8月をめどに結果を取りまとめる。
・静岡県は薬事審議会で薬剤師確保に向けた取り組みとして、薬剤師の勤務環境改善支援、薬学部生を対象にした合同就職説明会、離職・転職者向けの復職支援などを例示した。
・審議会の議論や県病院薬剤師会との意見交換などを踏まえ、次期保健医療計画に盛り込む具体策を詰める。
・薬事審議会では、病院薬剤師の確保が喫緊の課題との認識を共有した。委員からは「薬学部生に対して奨学金の給付も検討すべきだ」との意見が出た。