広島の新病院、開業前から資金不足で県が65億円の貸し付け決定
- 2025.02.07(金)
- ・広島県が進める新病院建設計画で、運営資金の不足が明らかになった。これを受け、県は2025年度の予算案に65億円の貸付金を計上し、資金を補う方針を示した。
・新病院は広島市東区に建設され、16階建ての施設に一般病床950床、精神病床50床を備える予定。県立広島病院や中電病院など4つの医療機関を統合し、広島都市圏の医療体制を強化する狙いがある。
・新病院の運営主体となる地方独立行政法人は、2024年4月に設立予定。しかし、国の認可を受けるために必要な資金が不足していることが判明した。
・資金不足の原因として、県立広島病院と県立安芸津病院の資金残高が2024年度末に18億円の赤字となる見込みであることが挙げられる。総務省の認可基準では7億円以上の資金確保が求められるが、黒字想定だった計画は看護師不足や人件費の上昇によって見通しが狂った。
・県はこの状況を受け、25億円の公費投入を決定。23年間の貸付期間を設定し、10年間は返済を猶予し、2035年度から毎年2億円ずつ返済する形をとる。また、経営安定のため40億円の短期貸付も用意した。
・県議会への説明は2024年初頭に行われたが、関係者からは「突然の話で驚いた」との声が上がった。新病院開業に向け、各病院の経営改善策を検討する必要があるとの意見も出ている。
・このほか、建設費用の増加も課題となっている。当初1300億~1400億円と試算されていた総事業費は、資材価格の高騰により大幅に増額。コスト削減策として、解体予定だったJR広島病院を新病院の一部として活用し、駐車場の建設計画を変更する対応が取られる。
・湯崎英彦知事は「開業スケジュールを維持しながら、コストを抑える最善の選択をしていく」とコメントした。