被災地での生理用品事情
2024年1月24日
・ 災害が頻発する中、一部の男性からは生理用ナプキンの支援が軽視されがち。今回の能登半島地震でもSNS上でその声が聞かれるが、実際には避難所で生理になった女性たちは多くの困難に直面し、それを人知れずに処理してきた。
・ 国際医療福祉大学・保健医療学部の及川裕子教授が東日本大震災で被災した女性たちにインタビュー調査を行い、「災害と生理」の実情を明らかにした。
・ 健康面のリスクを挙げる及川教授は、女性の尿道が男性よりも短く、細菌が侵入しやすいため、こまめな下着の替えが難しい状況でぼうこう炎になる可能性があると指摘。
・ 生理に関する医学的な知見がなくても、基本的な生理の知識があれば、「生理用品はぜいたく品」とは言えない。
・ 月に一度の生理は3~7日間続き、経血の量が最も多いのは月経開始から3日目まで。これにより、経血の吸水量の限界を迎え、こまめなナプキンの替えが難しい状況が生まれる。
・ 2014年に行った「避難所におけるウィメンズヘルスの課題」の調査では、浸水をまぬがれた民家でナプキンを求める切実な姿が浮かび上がり、ナプキンの不足からティッシュペーパーやトイレットペーパーで対処せざるを得なかった女性もいた。
・ ナプキンの防水性がないため、経血の漏れるリスクが高まる。避難所では血で汚れた服を着る女性もおり、周囲の女性たちは近隣の民家を訪ねて着替えを提供した。
・ 避難所での苦痛を減らすためには、日頃からトイレットペーパーと同様にナプキンもストックすることが必要。しかし、及川教授によれば、生理の問題以外にも「更衣室の不足」「男女共用のトイレでの気まずさ」など、女性ならではの悩みが存在する。
・ 中学生の女の子たちが避難所で激しい動きを控える理由として、「ブラジャーがないので胸の動きが目立つから」という報告もあり、支援物資でブラトップが届くと、彼女たちは活発に動き回れるようになった。
・ 髪を洗えない状況で冷たい川に入り、体験談を共有する女性たち。及川教授は「女性としての尊厳を守りたいという欲求はそれだけ切実だ」と語る。
・ 発災直後は命に関わる支援が最優先されるが、避難生活が長期化すると尊厳を守る必要性が生まれる。ナプキンのない避難所では女性たちの「人間らしい生活」を守ることが難しい。
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