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2024/03/05 火曜日 | 学会情報

生体の肺と肝臓を同時移植、京都大病院が世界初の手術

2024年3月4日

・京都大医学部付属病院は4日、生きている人から提供された肺と肝臓を1人の患者に同時に移植する手術に成功したと発表した。これは世界で初めてのことだ。手術を受けたのは、関東に住む10歳未満の男の子で、先天性の病気があった。手術は2023年11月に行われ、男の子は3月1日に病院を出た。

・同病院によると、脳死した人から提供された肺と肝臓の同時移植は、米国やドイツなどで少し行われている。日本では、脳死の人から臓器をもらうことが少ないので、そういう手術はなかった。生きている人から提供された肺と肝臓の同時移植は、世界で初めてだ。同病院は、「新しい治療の可能性が広がった」と言っている。

・男の子は、染色体に問題があって、全身の臓器がうまく働かない「先天性角化不全症」だった。2歳のときに血液が少なくなる病気になって、4歳のときに妹から骨髄をもらった。でも、そのあとに肺や肝臓も悪くなって、移植が必要になった。

・肺と肝臓を同時に移植すると、手術が長くなって危険が増えるので、同病院は肺と肝臓を別々に移植することも考えた。でも、どちらかの臓器だけを移植しても、男の子がもう一つの手術までに弱ってしまうかもしれないと思って、同時移植にした。

・手術は、父親(40代)の右肺の一部、母親(40代)の左肺の一部、祖父(60代)の肝臓の一部を移植した。4つの手術室を使って、医師など約30人が手術にかかわって、約18時間かかった。両親と祖父はもう元気になって、男の子も酸素を吸わなくても歩けるようになったという。

・男の子の両親は、「これまで移植はできないと思っていて、何もできない気持ちや絶望感を感じていた患者や家族の方に、希望の光になれたらうれしいです」と言った。肺移植をした同病院呼吸器外科の伊達洋至(ひろし)教授は、「同時移植ができることを示せた」と言った。

 

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