ホヤで発見された脳になる細胞、脊椎動物進化の手がかりに
- 2024.10.24(木)
- 甲南大学などの研究グループが、無脊椎動物のホヤでヒトを含む脊椎動物の胚における頭部の骨や脳になる組織に似た役割を持つ細胞を初めて確認した。研究成果は、英科学誌ネイチャーの電子版に発表された。
脊椎動物には、胚が成長する過程で頭蓋骨や顔の筋肉、色素細胞などになる「神経堤」という組織が存在する。この神経堤は、脊椎動物特有の「発達した頭」の獲得に関わるが、これまで脊椎動物以外では見つかっていなかった。
研究グループは、無脊椎動物の中で脊椎動物に最も近いとされるホヤを使用。ホヤの胚で神経堤の可能性がある細胞の色を変化させ、約3日間観察を行った。その結果、ふ化後の幼生の頭部で色をつけた部分が色素細胞や脳の一部など神経堤から分化する細胞になっていることが判明した。また、神経堤に特徴的な移動の様子も確認され、原始的な神経堤であることが分かった。
研究グループは、約6億年前に存在していたと考えられる脊椎動物とホヤの共通の祖先が原始的な神経堤を持ち、それを進化させることで脊椎動物は頭部を発達させたと推測している。
この研究には、甲南大学のほか、中部大学、米プリンストン大学、セントルイス大学も参加している。