・慶応大は、第三者の子宮を移植することで子宮がない女性の出産を可能にする臨床研究の実施計画を発表した。審査委員会の承認を受け、国内で初めての試みとなる可能性がある。
・対象は、生まれつき子宮を持たない「ロキタンスキー症候群」の患者や、病気や手術で子宮を摘出した女性。
・計画では、20~30代の患者3人程度を対象とし、事前に採取した卵子で体外受精を行い受精卵を凍結保存。子宮移植後に受精卵を移植し、妊娠・出産を目指す。
・子宮の提供者は、母親などの親族を想定している。現在の臓器移植法では、死者からの子宮提供は認められていない。
・研究チームの木須伊織専任講師は、子宮移植が子どもを望む患者の新たな選択肢になる可能性を指摘し、慎重に進める意向を示した。現時点では手術の実施は未定で、今後の検討が必要とされる。
・がん治療などで子宮を失った女性にも希望を与える一方、健康な提供者に外科手術を行うことの倫理的課題が指摘されている。
・研究チームは、日本産科婦人科学会などの関係学会の見解を求め、日本医学会は2021年に条件付きで計画を容認。これを受け、2022年11月に国の認定を受けた大学の審査委員会に実施計画を提出した。
・2014年にスウェーデンで世界初の子宮移植による出産が報告され、これまでに140件以上の手術が行われ、70人以上の赤ちゃんが誕生しているとされる。