高齢者の薬の知識を深めるシニアカレッジ:薬剤師から学ぶ薬の基礎

2024年6月28日、三重県松阪市で「シニアカレッジみえ」が開校し、県内から集まった26人の受講生が薬についての講義を受けました。このカレッジは次世代のリーダー育成を目指し、健康や生きがい、地域づくり、防災対策などの講義や演習を行っています。この記事では、薬剤師の中澤直美さんによる「高齢者のための薬の知識」についての講義内容を中心に紹介します。

シニアカレッジみえの概要

「シニアカレッジみえ」は、三重県老人クラブ連合会が主催する健康づくり大学校で、次世代のリーダーを育成するために設立されました。2010年から毎年開催されており、今年で15回目を迎えます。今年は松阪市で開催され、6月28日から12月3日までの計8日間にわたって講義が行われます。講義内容は多岐にわたり、健康管理から地域活動、防災対策まで幅広いテーマが扱われます。

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高齢者のための薬の知識

開講式の後、第1限の授業として行われたのは、県薬剤師会の中澤直美さんによる「高齢者のための薬の知識」という講義です。中澤さんは、高齢者が薬を使用する際の注意点について詳しく説明しました。

  • 薬剤師との相談の重要性: 中澤さんは、薬局で支払う費用には薬剤師との相談料も含まれていることを説明し、気になることがあれば遠慮せずに薬剤師に相談するよう呼びかけました。
  • 薬の効果と副作用: 年を取ると身体の機能が低下し、薬が強く効きすぎたり、副作用が強く現れることがあるため、注意が必要です。
  • 薬の適切な使用方法: 中澤さんは、同じ薬でも人によって処方される量が異なること、錠剤を砕いたりカプセルを外したりしてはいけないこと、点眼薬は1滴で十分な効果があること、薬の保管は光と湿度を避けることなど、薬の適切な使用方法について説明しました。
  • お薬手帳の重要性: 地震や事故に遭った場合に備えて「お薬手帳」を携帯しておくことで、スムーズに医療が提供されることの大切さも強調されました。

受講生の反応

講義終了後、受講生たちは中澤さんに質問を投げかけました。「飲み合わせが悪くて死ぬことはあるか」という質問には、「100パーセントないとは言えません」と答え、「処方箋が出ている薬を『飲みにくい』という理由で薬局で変えてもらうことはできるのか」という質問には、「薬剤師が医師に薬の変更を提案することができます」と説明しました。

受講生の竹田淨さん(73歳)は、「薬の知識について、保管方法など思い込みがあったことに気付いた。薬剤師に相談することが大切だと痛感した」と話し、講義から得た知識を今後の生活に活かしていく意向を示しました。

まとめ

「シニアカレッジみえ」での講義を通じて、高齢者が薬を適切に使用するための知識が深まりました。薬剤師との相談の重要性や薬の正しい使用方法についての理解が進み、地域社会での健康管理に役立つ情報が共有されました。今後も、こうした教育プログラムを通じて、地域社会の健康づくりが進められることが期待されます。