今回は、歯周病がどのように全身の健康に影響を及ぼすのかについてお話しします。歯周病は一見口腔内の問題に思えるかもしれませんが、実際にはさまざまな全身疾患との関連性が指摘されています。 歯周病は、歯肉の炎症や歯槽骨の破壊を引き起こす疾患です。口腔内に存在する細菌が炎症を引き起こし、歯周組織を傷つけます。この炎症が放置されると、細菌は血流やリンパ液を通じて全身に広がることがあります。それでは、詳しく見ていきましょう。
歯周病菌は全身をめぐる
- 歯周病菌が血液を介して全身に広がる: 歯周病が進行すると歯ぐきや歯を支える骨などの歯周組織を破壊し、歯周病菌が血管へと侵入して脳や心臓など全身に広がります。歯周病菌が侵入した血管内で、慢性的に過剰な生体防御反応が起こり、血管や体の機能に悪影響を及ぼすことがあります。
- 炎症性物質が全身に広がる: 歯周病によって作られた炎症性物質が血液を介して全身に広がります。この炎症性物質は、血糖値を下げるインスリンの働きを悪くさせたり、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めたりする原因となります。
影響を及ぼす主な疾患の関連性
- 心臓病との関連性: 歯周病の細菌が血流を介して心臓に到達すると、心内膜炎や心内膜症を引き起こす可能性があります。心臓弁の損傷は、心拍数の増加や息切れの原因となることがあります。
- 糖尿病との関連性: 歯周病の炎症は、血糖値の管理を難しくすることがあります。さらに、糖尿病患者は免疫力が低下しているため、歯周病にかかるリスクが高まります。歯周病と糖尿病は、互いを悪化させる悪循環に陥ることがあります。
- 妊娠中の影響: 歯周病の炎症によって産婦人科領域での合併症の発生率が上昇し、早産や低出生体重児のリスクが高まることがあります。歯周病は妊娠中の女性にとっても重要です。
- 誤嚥性肺炎への影響:誤嚥性肺炎のリスク: 歯周病原菌が誤嚥により気管支から肺にたどり着くことで、高齢者の死亡原因でもある誤嚥性肺炎の原因となります。
- その他の全身疾患: 歯周病は脳卒中、呼吸器疾患、関節リウマチなどとも関連しています。これらの疾患は、歯周病における炎症や細菌が引き起こす慢性的な状態と関連していることが研究で示されています。
まとめ
したがって、歯周病は単なる口腔内の問題ではなく、全身の健康に対して深刻な影響を及ぼす可能性があることを忘れてはいけません。歯周病の予防・治療を行うことで、全身の様々な病気のリスクを下げることが可能です。日々の歯磨き・口腔ケアを見直し、全身の健康につなげましょう。