グミの人気と歯の健康への影響:医療従事者の視点から

1. グミの市場拡大と消費者の変化

近年、グミはその独特の食感と果汁の風味で大人気となり、市場規模は年々拡大しています。2021年にはガムの売り上げを追い越し、2023年には前年比24%増の972億円に達しました。コンビニの棚には多様なグミが並び、特に出勤時の気分転換や小腹を満たす目的で購入する社会人が増加しています。この背景には、グミが食べ終わった後にゴミが出ないという衛生面での利点も一因となっています。

しかし、歯科医の新美寿英さんは、グミには虫歯のリスクが高いと警告しています。グミの主な原材料は砂糖と水あめであり、これらは糖類がほとんどです。WHOは成人の糖類摂取量を1日当たり25グラムに抑えることを推奨していますが、グミ1袋の糖分はこの倍近くに達することもあります。さらに、ジップ付きでコンパクトなパッケージは、ダラダラと食べ続けてしまう傾向があり、歯に悪影響を及ぼします。

2. グミの健康影響と代替品の提案

グミは元々、子供のかむ力を強化するためにドイツで作られた菓子です。パッケージには「コラーゲン配合」や「ビタミンCたっぷり」といった健康を謳う文言が見られ、ポテトチップスやチョコレートなどより健康的なイメージを持たれることが多いです。しかし、歯科医の視点から見ると、グミは非常に虫歯になりやすいお菓子の一つです。粘着性があるため、食べかすが歯に残りやすく、これが酸の作用で歯の表面を侵食し、虫歯のリスクを高めます。

新美さんは、かむことで脳の活性化や消化の促進につながるというグミの利点も認めつつ、糖分と酸味料が歯に与えるダブルアタックのリスクを強調しています。特に最近人気のハードタイプのグミは、強い弾力があり、かむことによって歯の表面がすり減る「酸蝕症」や「知覚過敏」を引き起こす可能性があります。

代替品として新美さんが推奨するのは、代替甘味料キシリトールを使用したシュガーレスのガムです。キシリトールは唾液の分泌を促し、虫歯や歯周病を予防する効果があります。日本歯科医師会も、歯科保健の向上につながる商品として数種類のシュガーレスガムを挙げています。

3. 健康的なグミの選択肢と今後の展望

どうしても「ガムよりグミ」派の人には、歯科医院専売のキシリトール100%グミという選択肢もあります。しかし、キシリトールは一度に大量に摂取するとおなかが緩くなることがあるため、適量を守る必要があります。また、食後の歯磨きは依然として重要です。

グミ市場の今後については、健康志向の高まりにより、シュガーレス化が進む可能性もあります。しかし、新美さんは、砂糖が主原料のグミは原価が安く利益幅も大きいことから、各社がすぐにシュガーレス商品を開発することは難しいと見ています。グミ好きの消費者には、摂取のリスクや限度を理解した上で、嗜好品として楽しむことが重要です。

まとめ

グミはその美味しさと手軽さから多くの人に愛されていますが、歯科医の視点から見ると、虫歯のリスクが高いお菓子です。特に糖分と酸味料が歯に与える影響は無視できません。健康的な代替品としては、キシリトールを使用したシュガーレスガムがおすすめです。消費者は、グミの摂取リスクを理解し、適度な量を楽しむことが大切です。今後の市場動向を注視しつつ、健康に配慮した選択を心がけましょう。