PEEK冠とは、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を主成分として作られた歯冠(クラウン)のことを指します。PEEKは高性能の工業用プラスチックで、曲げ弾性率が低く、力が加わった際にたわみやすく割れにくい特徴を持っています。この材料は金属アレルギーの患者にも適しており、従来のCAD/CAMよりも割れにくいとされています。
他の材料と比較して
PEEK冠は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を主成分として作られた歯冠(クラウン)のことを指します。PEEKは高強度のプラスチックで、航空機や自動車の部品にも使用されています。
PEEK冠と他の材料を比較すると、以下の点が異なります:
- セラミックとの比較:
- PEEK冠: PEEKはアイボリー色で一様な色調を持ち、光沢や透明感は乏しいです。割れにくく、金属アレルギーの患者にも適しています。
- セラミック: セラミックは天然歯の色調・光沢・透明感・質感を忠実に再現できる材料です。見た目に大きな違いがあります。
- 弾性係数の違い:
- PEEK冠は弾性係数が支台歯の弾性係数の1/3程度と小さく、フレームワークが緩衝材となり衝撃を吸収することで、支台歯へ伝達される衝撃が軽減されます。
- 長期臨床成績:
- PEEK冠の長期臨床成績はまだ確立されていません。
PEEK冠のメリット・デメリット
メリット:
- 金属と同じくらい薄くてもOKなので、歯を削る量が少ない
- 金属アレルギーの患者に使える(メタルフリー)
- 従来のCAD/CAMより割れにくい
デメリット:
- 透明感がなく白すぎて見た目が悪い
- 長期の臨床成績がまだ確立されていない
PEEK冠を使用する際に注意すべきこと
- 適合性の確保: PEEK冠の装着には接着性レジンセメントが使用されます。口腔内での適合を確保するためにアルミナサンドブラスト処理が行われます。
- 経年的な変化: PEEKはあくまでプラスチックなので、経年的な摩耗や変色が起こりやすいです。噛み合わせの変化にも注意が必要です。
- 見た目: PEEK冠は透明感がなく白すぎて見た目が悪いと感じることがあるかもしれません。
まとめ
総じて、PEEK冠は割れにくく、金属アレルギーの患者に適していますが、実際につけてみた患者さんからは、PEEK冠は銀歯より目立つとの意見もあります。柔軟性があり強靭で割れにくいことが納得できる点ではありますふが、長期的な接着については今後の研究が必要です。歯科では予防が最も重要であり、適切なフッ素使用と定期的な歯科チェックが大切です。PEEK冠は、一つの選択肢として覚えておくと良いでしょう。