看護師向け転職エージェント比較サイトを運営するSOKKIN(東京都新宿区)が、看護師が受けた患者からのカスタマーハラスメント(カスハラ)について調査を実施し、その結果を発表しました。調査は、2024年5月、現役看護師を対象に、インターネット上で行われました。
看護師の「カスハラ」実態
調査によると、「患者との関わりで困った経験はありますか?」という質問に対し、「ある」と回答した人が97%という結果でした。具体的にどのようなことに困ったかをたずねたところ、「ワガママがひどい・言うことを聞いてくれない」が最も多く、次いで「認知症患者の対応という結果でした。他にも「個人的に連絡先を聞かれる」などの回答も多く見られました。
看護師への「カスハラ」エピソード
さまざまなコメントが寄せられました。
- 「こちらの言うことは全く聞かないが医者の言うことは聞く」(30代男性)
- 「食事持ち込み禁止の患者のパンをたまたま2回連続で冷蔵庫から見つけてしまったのでドクター報告のために事情聴取と注意をしたら怒鳴られ保健所に通報された。その責任として出勤停止にされ、退職に追い込まれた」(30代女性)
- 「ワガママな患者は安静制限や食事制限を守らない、大部屋で遅くまで大声で話すなど注意してもきいてくれず、強く出れないのをいいことにやりたい放題だった」(40代女性)
- 「ホテルと勘違いしているのか安静度フリーの患者からのテレビのリモコン取ってなどのナースコールなど、整形外科で働いているのでリハビリも兼ねて動くこと説明してもめんどくさいと言われた」(20代女性)
暴力やハラスメントも
さらに「患者から暴力やハラスメントを受けたことはありますか?」という質問をしたところ、79%が「ある」と回答しました。身体的暴力を受けたことがある看護師は全体の61%に上り最も多い結果でした。
患者から暴力やハラスメントを受けた人に具体的なエピソードを聞いたところ、看護師への「カスハラ(カスタマーハラスメント)」の実態がわかるコメントが多く寄せられました。
- 「トイレに行きたいというのでベッドから起こそうとしたら、患者さんに『痛い』と言われて叩かれた」(50代女性)
- 「入院に納得できない男性患者が帰宅を訴えて暴れてしまい殴る、蹴るなどの暴行にあった」(30代男性)
- 「アルコール依存症の患者にアルコールをかけられた」(30代女性)
- 「バイタル測定しようとしたら、いきなり何するんやと怒られて、顔や体を2,3発殴られた」(20代女性)
- 「治療拒否の患者さんからの、看護師に対する『医者がいないと何もできない』『頭が悪い』等の一方的な暴言があった」(30代女性)
- 「患者が突然4万文字のレポートを作成してきて、フィードバックを要求してきた。業務の範疇外であると伝えると、料金に見合った一流のサービスを提供しろと怒り口調で言われた」(40代女性)
- 「胸を触られたり、添い寝しようなど性的に不快な言葉をあびせられた」(30代女性)
- 「もう少し肉をつけた方がいいだの体型に関して行ってくる人が多かった」(40代女性)
対応の改善への必要性
調査を行った「SOKKIN」は、「今回の調査で、回答した約8割の看護師が患者からのカスハラを受けており、そのうちの半数以上の方が、被害に関して適切な措置をとられていないという事がわかりました。また職場で行われているカスハラに対する取り組みの調査で、マニュアル作成など形式上の対策はとられているものの、実際に相談したら取り合ってもらえない等の意見が多く見られ、今後医療現場でのカスハラに対する対応の改善の余地が明らかになりました」と指摘しています。
この問題に対して、適切な対策を講じることが重要です。看護師の健康と安全を守るために、職場環境の改善や適切な教育プログラムの実施などが求められています。