奥能登地域の医療の未来:赤字病院と過疎化の課題

2023年度の決算で、石川県の奥能登地域に位置する4つの公立病院が合計で12億円を超える赤字を計上しました。これにより、地域医療の持続可能性が深刻な課題となっています。昨年度は、珠洲市総合病院で約5億7000万円、輪島市立輪島病院で約2億3000万円、公立宇出津総合病院で約3億2000万円、公立穴水総合病院で約1億1000万円の赤字が発生しました。

特に珠洲市総合病院では、能登半島地震の影響で医療スタッフの退職が相次ぎ、人手不足による稼働病床数の減少が問題となっています。地震後、入院患者数は急激に減少し、徐々に回復しているものの、地震前の水準には戻っていません。

過疎化と医療体制の再編

奥能登地域の過疎化は、医療体制に大きな影響を及ぼしています。人口減少が進む中、4つの公立病院の経営はますます困難になっています。珠洲市総合病院の石井和公事務局長は、病院の集約や再編を提案し、このままでは今年度も大幅な赤字が予想されると警告しています。

地域の首長たちは地震前から、新病院の設立を含めた医療機能の集約を提案していましたが、具体的な計画は進んでいません。県は今後、奥能登の医療提供体制の強化策を検討するための会議を設置する予定です。しかし、被災に伴う緊急対策が優先され、抜本的な議論は先送りされる見通しです。

地域住民への影響と未来の展望

奥能登地域の住民にとって、医療体制の維持と強化は緊急の課題です。仮設住宅で暮らす住民も多く、医療アクセスの確保は地域復興の鍵となります。県の担当者は、まずは被災者への医療提供を優先する必要があると述べていますが、長期的な視点での対策も不可欠です。

地域医療の確保には、地域全体での協力と持続可能なモデルの構築が求められます。医療スタッフの確保、医療設備の充実、そして地域住民の健康維持に向けた取り組みが必要です。県や市町村、そして地域住民が一体となって取り組むことで、奥能登の未来を支える医療体制が築かれるでしょう。

まとめ

石川県奥能登地域の公立病院が大幅な赤字を計上し、地域医療の持続可能性が危機に瀕しています。過疎化と地震被害により、医療スタッフの不足や患者数の減少が深刻な問題となっています。地域医療の確保には、病院の集約や再編、地域住民の協力が必要です。県は今後の医療提供体制の強化策を検討する予定ですが、長期的な視点での対策も不可欠です。地域全体で協力し、持続可能な医療モデルを構築することが求められます。