美容医療に関連するトラブルの急増を受けて、厚生労働省はこの夏に専門家による検討会を立ち上げることを決定しました。
美容医療のトラブルは年々増加しており、昨年度は相談件数が6255件に達し、そのうち健康被害に関するものが891件もありました。
この記事では、美容医療の現状と問題点、そして厚生労働省の取り組みについて詳しく解説します。
美容医療の現状と課題
美容医療は、脱毛や脂肪吸引、小顔矯正などの施術を含む広範な分野です。これらの施術は患者の自己負担で行われることが多く、自由診療として提供されます。そのため、第三者による診療内容の確認制度が存在せず、トラブルが発生しやすい環境にあります。
昨年度、美容医療に関する相談件数は前年度から約1.6倍増加し、特に健康被害に関する相談が目立ちました。こうした背景には、美容医療の需要の高まりとともに、適切な施術が行われていないケースが増えていることが挙げられます。特に問題視されているのが、医師免許を持たない者による施術です。
HIFU施術に関する問題
エステサロンなどで人気を博しているHIFU(ハイフ)という機器の施術も、トラブルの一因となっています。HIFUは「高密度焦点式超音波」の略で、皮膚のたるみを改善する効果があるとされています。しかし、医師免許を持たない者がHIFUを使用することによる健康被害が報告されています。
これを受けて、厚生労働省は今月7日に、医師以外がHIFUの施術を行うことは医師法に違反すると都道府県に通知しました。また、医師の指示を受けた看護師が施術を行うことは可能ですが、違反行為が確認された場合には、施術の停止を勧告し、改善されない場合には刑事告発も視野に入れるよう求めています。
厚生労働省の新たな取り組み
こうした状況を受けて、厚生労働省は美容医療の適切な在り方を議論するために、初めて専門家による検討会を立ち上げることを決定しました。
検討会では、美容医療に関するガイドラインの策定や、施術の適正化に向けた対策が話し合われる予定です。
具体的には、以下のようなテーマが議論されることが予想されます。
- 美容医療の施術基準の策定
- 美容医療に関する情報提供の強化
- 美容医療を提供する施設の認定制度の導入
これらの対策を通じて、患者の安全を確保し、美容医療におけるトラブルの防止を図ることが目的とされています。
まとめ
美容医療に関するトラブルの急増に対応するため、厚生労働省は専門家による検討会を立ち上げ、適切な施術の在り方を議論することを決定しました。
HIFU施術における違法行為への対応や、施術基準の策定などを通じて、患者の安全を確保し、美容医療におけるトラブルの防止を目指しています。今後の動向に注目が集まります。