2024年3月、近江八幡市立総合医療センターで、生後6か月未満の乳児に対する医療事故が発生しました。この事故は、耳鼻咽喉科を受診していた乳児に対し、准看護師が誤って非常に強い酸性の薬を投与したことによるもので、結果として乳児は口やあごにやけどを負い、10日間入院する事態となりました。
この准看護師は、業務上過失傷害の疑いで書類送検されました。警察の調査によれば、本来飲み薬として処方すべき薬を、似た名前の塗り薬と間違えて投与したことが原因です。准看護師は任意の事情聴取に対し、容疑を認めています。
医療事故の影響と対策の必要性
このような医療事故は、患者やその家族に大きな心理的・身体的負担を与えるだけでなく、医療機関全体の信頼にも影響を及ぼします。特に乳児に対する医療事故は、その後の発育や健康に長期的な影響を与える可能性があるため、非常に深刻です。
誤投与の原因と再発防止策
薬の誤投与の背景には、いくつかの要因が考えられます。例えば、薬剤の名前やパッケージの類似性、医療従事者の疲労やストレス、薬の管理システムの不備などが挙げられます。
1. 名前やパッケージの類似性
薬剤の名前やパッケージが類似している場合、混同しやすくなることがあります。特に、同じ系統の薬剤で異なる用途のものがある場合、注意が必要です。
対策としては、薬剤の名前やパッケージデザインをより明確に区別することが考えられます。また、薬剤の管理においても、色分けやラベルの工夫を行うことで、誤投与のリスクを減らすことができます。
2. 医療従事者の疲労やストレス
医療現場では、長時間労働や緊急対応が求められることが多く、医療従事者の疲労やストレスが蓄積しやすい環境です。これにより、注意力が散漫になり、ミスが発生するリスクが高まります。
対策としては、労働環境の改善や定期的な休息の確保、心理的サポートの提供が重要です。また、チームでのダブルチェック体制を整えることで、ミスの発見や防止につなげることができます。
3. 薬の管理システムの不備
薬剤の管理システムが不備である場合、誤投与のリスクが高まります。特に、手作業での薬剤管理や記録の不備が原因となることがあります。
対策としては、電子カルテや薬剤管理システムの導入・改善が挙げられます。これにより、薬剤のトラッキングや確認作業が効率化され、ヒューマンエラーのリスクを低減できます。
まとめ
近江八幡市立総合医療センターで発生した薬誤投与による医療事故は、乳児に重大な負傷を負わせ、医療従事者の業務上過失傷害として書類送検される結果となりました。この事故を教訓に、医療現場での薬剤管理の徹底、医療従事者の労働環境の改善、システムの整備が急務です。
医療機関は、患者の安全を最優先に考え、再発防止策を講じることが求められます。これにより、同様の事故を防ぎ、信頼される医療を提供することができるでしょう。