大規模災害時における歯科の対応

災害時における歯科医療の役割は、被災者の口腔健康を保護し、避難所や避難生活での口腔衛生をサポートすることです。大規模災害が発生した際、歯科医療機関は次のような活動を行います。

応急歯科診療活動

  • 緊急歯科治療:通常の歯科医療体制が回復するまでの間、被災地で緊急歯科治療を提供します。急患の対応や痛みの緩和、抜歯などを行います。
  • 要配慮者への支援:避難生活が困難な高齢者や障害者など、特別な配慮が必要な人々に対して、口腔衛生管理や口腔機能のサポートを行います。

避難所での口腔ケア

  • 口腔衛生啓発:避難所で被災者に対して口腔ケアの重要性を伝え、歯磨きやうがいの指導を行います。歯ブラシや歯磨き粉、うがい液を提供し、清潔な口腔環境を維持します。

遺体安置所での歯科支援

  • 歯科所見採取:感染防護対策を講じながら、遺体の歯科所見を採取し、身元確認作業をサポートします。

災害時において、歯科医療機関は被災者の健康を守るために欠かせない存在です。 

災害時の口腔ケアについて

災害時の口腔ケアは、被災者の健康を守るために重要です。特に避難生活では不規則な生活やストレスが増加し、口腔衛生状態が低下することがあります。以下に、災害時の口腔ケアについて詳しく説明します。

  1. 防災グッズに口腔ケアアイテムを準備
    • 非常用持ち出し袋に、家族分の非常用の歯ブラシ、液体ハミガキ、口腔用ウェットティッシュなどを入れておきましょう。
    • 発災後の非常時に十分な口腔ケアを行うことは、困難になることが想定されるため、事前の準備が大切です。
  2. 水不足に対する対策
    • 災害時は水が不足することがあります。なるべく水を使わない方法で口腔ケアを行いましょう。
    • 口腔内の清潔を保つために、歯磨きやうがいを継続しましょう。

災害時においても、口腔ケアは健康を守るために欠かせない要素です。

歯科保健医療の対策と取り組み

災害時における歯科保健医療の対策について、日本ではいくつかの取り組みが行われています。以下はその一部です。

  1. JDAT(日本災害歯科支援チーム)
    • JDATは、災害発生後おおむね72時間以降に地域歯科保健医療専門職により行われる、緊急災害歯科医療や避難所等における口腔衛生を中心とした公衆衛生活動を支援することを目的として設立されました。被災者の健康を守り、地域歯科医療の復旧を支援しています。
  2. 都道府県歯科医師会の対策:
    • 各都道府県歯科医師会は、災害時に歯科保健ニーズを把握し、歯科健康管理を行う体制を構築しています。被災時には災害歯科対策本部として県内外からの歯科支援をマネジメントし、迅速かつ適切な歯科保健支援を提供しています。
  3. 歯科衛生士の役割:
    • 歯科衛生士も災害時に重要な役割を果たします。日本歯科衛生士会は災害対策本部を設置し、情報収集や厚生労働省および日本歯科医師会との連携を図り、被災地での歯科保健支援を行っています。

まとめ

災害時における歯科医療の役割は、被災者の口腔健康を保護し、避難所や避難生活での口腔衛生をサポートすることです。応急歯科診療活動では緊急歯科治療や要配慮者への支援を行い、避難所での口腔ケアでは口腔衛生啓発を実施します。また、遺体安置所での歯科支援では感染防護対策を講じながら歯科所見採取を行い、身元確認作業をサポートします。災害時において、歯科医療機関は被災者の健康を守るために欠かせない存在です。