9月 2024

マイナンバーカードとの一体化で後期高齢者医療制度はどう変わる?保険料の目安も解説

2024年12月2日から、日本の医療制度に大きな変化が訪れます。これまでの健康保険証が廃止され、代わりにマイナンバーカードが健康保険証として機能する「マイナ保険証」が導入されるのです。この新しい制度は、特に後期高齢者医療制度においても影響を与えます。この記事では、制度の概要、自己負担割合の変更点、そして保険料の目安額について詳しく解説します。

後期高齢者医療制度とは?

後期高齢者医療制度は、75歳以上の高齢者および一部の65歳以上の方々を対象とした医療保険制度です。保険証は通常、2年ごとに更新されますが、2024年12月の制度変更に伴い、今回は「有効期限1年」の保険証が発行されています。これにより、保険証の更新時期とマイナ保険証への移行がスムーズに行われることが期待されています。

自己負担割合の確認が重要

新しい保険証が届いた際には、必ず自己負担割合を確認することが重要です。後期高齢者医療制度における自己負担割合は、住民税課税所得に応じて1割、2割、3割と異なります。2022年10月からは新たに「2割負担」が追加され、負担が増える可能性があるため、注意が必要です。

たとえば、住民税課税所得が28万円未満の世帯では1割負担ですが、所得が一定以上ある場合は2割、さらに所得が高い場合は3割負担となります。これにより、医療費が倍増または三倍になることもありますので、保険証が届いた際には必ず確認するようにしましょう。

マイナ保険証のメリットとは?

マイナンバーカードと健康保険証の一体化によって、いくつかのメリットが期待されています。

  1. 医療費控除の申告が簡単に:確定申告時に医療費控除の手続きがマイナポータルを通じて簡単に行えるようになります。
  2. より良い医療の提供:医療機関で過去の健診情報や薬剤情報が共有されるため、より適切な医療が受けやすくなります。
  3. 健康管理の向上:マイナポータルを通じて、自身の健康情報を簡単に確認でき、日常の健康管理に役立てられます。
  4. 高額医療費の立て替えが不要に:高額療養費制度の適用がスムーズに行えるため、一時的な大きな医療費の立て替えが不要になります。

後期高齢者医療制度の保険料目安

後期高齢者医療制度における保険料は、被保険者全員が均等に負担する「均等割額」と、前年の所得に基づいて計算される「所得割額」によって決まります。保険料は都道府県ごとに異なり、所得や居住地によって負担額が変わる点に留意が必要です。

たとえば、2024年度の全国平均では、被保険者均等割額が年間約5万389円、月額約4199円となっており、所得割率は10.21%です。この保険料は、2025年度にはさらに上昇することが予想されています。

特に、年金収入が195万円のモデルケースでは、2024年度の保険料は全国平均で月額5411円、2025年度には月額5673円に増加するとされています。地域によっては、この金額がさらに高くなる場合もあります。

まとめ

2024年12月に予定されているマイナンバーカードと健康保険証の一体化は、医療制度に大きな変革をもたらします。同時に、後期高齢者医療制度における自己負担割合や保険料の変動も注目すべき点です。特に、保険料の上昇は年金の手取り額に影響を与えるため、老後資金の準備がますます重要となるでしょう。

今後も医療制度や保険料の変動に注意し、早めの対策を講じることが求められます。現役世代の方々も、将来の備えとして、資産運用や年金の手取り額の減少を見据えた計画を立てる必要があるでしょう。

2023年度の医療費が過去最高に:高齢化と医療の高度化が影響

日本の医療費が再び過去最高を更新し、その背景には高齢化と医療の高度化が深く関係しています。2023年度の医療費は47.3兆円に達し、これは3年連続での過去最高更新となります。この記事では、医療費の増加要因やその影響について詳しく解説し、今後の課題についても考察します。

高齢化と医療の高度化が医療費を押し上げる

2023年度の日本の医療費は、前年度から約1.3兆円増加し、2.9%の伸びを記録しました。この増加は、主に高齢化と医療の高度化が原因とされています。特に、75歳以上の医療費が18.8兆円に達し、これまでで最高額となりました。

高齢者の人口が増えることで、自然と医療サービスの需要も増加します。高齢者は複数の慢性疾患を抱えることが多く、そのために定期的な受診や薬の服用が必要です。また、医療技術の進展により、治療の選択肢が広がり、高度な医療が提供されるようになりました。これもまた、医療費の増加に寄与しています。

新型コロナ関連の医療費は減少

一方で、新型コロナウイルス関連の医療費は大幅に減少しました。2023年度には約4400億円と、前年度から半減しています。これは、ワクチンの普及や自然免疫の獲得により、感染者数が減少したことが主な原因です。新型コロナの流行初期には、医療機関が多大な負担を強いられましたが、2023年度はその影響が和らいだ形です。

しかし、この減少は一時的なものと考えられ、今後も新たな感染症やパンデミックが発生する可能性があるため、引き続き注意が必要です。

1人あたりの医療費も増加

2023年度の統計によると、1人あたりの医療費は前年度より1万2000円増加し、38万円となりました。特に、75歳以上の高齢者においては、1人あたりの医療費が96万5000円と非常に高額です。これに対して、75歳未満の医療費は25万2000円となっており、高齢者の医療費が突出していることがわかります。

このような状況は、医療費の負担が今後さらに増加することを示唆しています。高齢者の増加に伴い、医療制度の持続可能性が問われており、医療費の効率的な利用や予防医療の強化が求められます。

まとめ

2023年度の医療費が過去最高を記録した背景には、高齢化と医療の高度化が大きく影響しています。特に、75歳以上の高齢者の医療費が過去最高となったことは、今後の医療制度の課題として重くのしかかっています。一方で、新型コロナ関連の医療費が減少したことは好ましい兆候ですが、引き続き新たな感染症への対応が必要です。今後の日本の医療制度は、持続可能な形で医療費を管理し、国民全体の健康を守るための改革が求められるでしょう。